生殖医療についての問題点をもう少し。
結婚はしたくないが子供は欲しいという女性は一定数いるものと思われます。その場合、精子を購入して人工授精で子供を授かるという方法が考えられる。日本では認められていませんが、米国の一部では認可されているようです。
さて、そうなるとこれはビジネスとなり得る。肌の色、目の色、身長、学歴などを登録して、精子を提供する。もちろん対価を得る。一方、それを購入する女性は、例えば「ハーバード大学の学生で、白人、身長は 180cm、目の色は青で、髪はブロンド、アメフトのクオーター・バックを務めている選手」というような精子を買うことが出来る。高価でしょうけど。
いわゆるデザインド・ベイビーですね。成功した場合は二度と同じ精液は使用されません。要望が殺到して同じ父親の子供がたくさん生まれたら将来まずいことになりますからね。同じ父親を持った子供同士が結婚する可能性があるので。
同様な問題は日本でもあります。非配偶者間人工授精に使われる精液って誰が提供しているの?提供者の出自は女性には知らされません。医学部学生の精液が使われることがほとんどでした。さらに、成功しても使い回していたので、実は日本では父親が同じ兄妹がたくさん生まれていました。
それはまずいだろうということになって、最近はずいぶんと改善されているようですが、そのような問題はなかなかクリアカットに論じられない面があります。非配偶者間人工授精によらなければ子供持てないようなカップル(夫が無精子症など)にとっては福音となる治療法であるが、子供が大きくなって自分が父親に全く似ていないなどの疑問を持って、出自を親に問いただすかも知れない。
出自を知る権利は保障されているので、こうしたことも含めて生殖医療は慎重な対応が求められます。
欧米ではこうしたカップルが採る手段として、養子縁組が多い。両親が白人なのにわざと黒人の子供を養子にするようなカップルもいます。誰が見てもその両親の子供ではないことが明らかです。日本人は単一民族なのでこういうことには鈍感かもしれない。
これは宗教上の理由が大きいと思っています。キリスト教は愛の宗教ですからね。また、養子となった子供の権利が嫡出児と同等に保障されていることも大きいでしょう。フランスの離婚率の高さは驚くばかりですが、シングル・マザーに対する社会保障が行き届いていて、世間も何の偏見も持ちません。これが昔の日本だったら「出戻り」とか言われて白い目で見られていたわけですよ。
男女産み分けについては、例えばそれを許可したら生まれてくる男女比は偏るでしょうか?昔の家制度があった時代ならともかく、現代では偏らないような気がする。女の子が欲しいカップルと男の子が欲しいカップルって同じくらいいるのではないか?配偶者間人工授精では男女産み分けを認可していいのではないかと私は思っています。
あくまでも私見ですので、さまざまな価値観、倫理観はすべて認めますが。
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