このウルフを 12 半音階に均等に割り振ったものが平均律です。つまり平均律の完全 5 度や完全 4 度はどれ一つとして純正 5 度や純正 4 度ではありません。
5 度や 4 度のずれは比較的軽微で聴感上ひどく唸ったりはしませんが、長 3 度は誰が聞いても分かるくらいずれています。ギターの 4 フレットハーモニクスが開放弦から見た純正の長 3 度ですが、チューナーでこの音を見るとひどく低い。
しかしこの低い長 3 度と開放弦を一緒に鳴らすと(それは1本の弦では無理なので適宜工夫して)純正長3度の響きが得られて、これはとても良く響きます。合唱などではこの純正長 3 度でハモるのでピアノの長 3 度とは世界が違います。
金管楽器は基本的に純正の倍音を使っているので(C, C, G, C, E, G, Bb, C, D, E, F#というように)フィンランディアの金管合奏はほとんど純正律の和音が響いてとても気持ちよい。
チューナーが純正長 3 度を低く表示するのは、チューナー自体が平均律で内部計算されているからです。そうでないとすべての調で良く響く調律が出来ませんので。
物理的にはオクターブは周波数が 2 倍になるので、この間を 12 等分すれば平均律の半音階が得られるような気がしますが、そうではない。音程の感覚は五感すべての感覚がそうであるように、等差数列ではなく等比数列的(級数的)ですので、12 root 2 で割らなければならない。440 Hz X 12√2 が A# (Bb) の音の周波数です。これをまた 12√2 倍すると B 音の周波数が得られます。これを 12 回繰り返すと、めでたく 440 x 2 = 880 Hz の1オクターブ上の 880 Hz が得られます。
J. S. Bach の「12平均律クラビーア変奏曲」と呼ばれている有名な曲のタイトルは、英語で表記すれば "Well Tempered" で、別に平均律ではありません。誤訳ですね。
「良く調律された」という意味なので、平均律で弾く必要はありません。キルンベルガー2法とかベルクマイスターとか、当時非常に「良く調律された」と評価された調律法で演奏すればよろしい。
そのような調律で演奏すると、良く響く調と暗い響きとなる調が出現して、それが調性感として現れることとなる。イ短調とヘ短調は響きが違ってくるということで、それが良いとも言える。
長くなるので今回はこの辺で。
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